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僕の腕を掴んだ、部長の手。
あの血まみれだった手よりごつさは若干なく、ない分長くみえる。
僕はこの手を振り払えない。
タンクの影で向かい合って弁当を広げた。部長はふわりふわりと笑っていて、自然な動作で僕の弁当箱に唐揚げを一つ増やした。
それを手でつかみもしゃ、と口にいれた。
よーへーが。
いつの間に後ろにいたのだろうか、あからさまに部長の顔が強張った。
よーへーのこめかみから微かに血がにじんでいた。どうやら少し切れたらしい。
犯人はそこで強張っている人に違いない。
よーへーも部長も何も言わずに僕を挟んで座る。
歪んでく、僕と部長とよーへーと。それから周りもきっと。
その日は結局午後もサボり三人で屋上にいた。
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