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初めてその人を見たのは部活の新歓で、(因みに裁縫部。しかし校則で部活強制参加の為、週2で顧問もろくに寄らない部活に目を付けた不良達が溜まっている)裁縫には一切興味の無さそうなその人の、血まみれの拳に目を惹かれた。
結局その日は硬派そうな体格のいい部長と、血まみれのその人しか覚えられなかった。
部活動は火曜日と木曜日で、昨日が火曜日だった、でも僕は裁縫が好きで入部した人間だから、次の日も部室に訪ねた。
中には部長一人。
声をかけると、部長はお前が来そうだっからと少し恥ずかしげに呟いた。
その横顔が、なんだか可愛いかった。
それから急速に部長との中は縮まって、毎日部室を訪れるようになった。
その間血まみれの人と不良な先輩方2人、それから同じ一年生の不良3人は来たり来なかったりだった。とりあえず出席だけはしなきゃいけないらしく、来る事の方が多かったが直ぐに帰っていた。
だから僕は彼等の名前もクラスも知らない。興味もなかった。
僕が興味あったのは部長だった。
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