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夏休み真っ只中の裁縫部。
遅々として進まなかった僕の桜はようやく満開になったが、部長には渡せないでいた。
変なのは分かっている。
あの日の金曜日、何かが崩壊したのだ。よーへーの中で。
そして部長も壊れて、僕もひび割れて砕けた。砕け、たかった。
今は合宿だと言って(合宿する必要があったのか、それはよくわからない)部長の家に泊まっている。
部長とよーへーと、僕。
他の人は皆バイトがあるそうで誰もいない。そもそも部長が知らせていないだろうが。
僕はこの夏休みの空のような真っ青のミニタオルに、小さな白い鳥を縫い付けていた。この鳥のように自由に空を飛べる時がくると信じて。
この日、無残にも引き裂かれたタオルの上で、僕と部長は愛しあった。
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