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よーへーを認知した火曜日、そして次の日。
授業が終わると真っ先に部室に駆け込んでいたが、この日僕は資料室にいた。
世界史の担任に呼び出されたのだ。
…正直言って担任にはあまりいい感じがしない。二十代後半の少し神経質そうな男だ。細身だが、僕よりは男らしい体つきだ。
「明日五冊使うんだ」
「はあ」
キラリ、彼の眼鏡が光った気がした。
しかし担任には興味がなかった。
必要らしい五冊の資料を探して四つん這いになった時、首筋に人の息を感じた。
「…邦光、君は」
やらしいね、
バッと後ろを振り返る。
扉の確認の為だ。
「駄目だよ駄目だ。私の邦光はそんな子じゃない」
担任の節くれだった長い指が軽やかに動き、僕の首にナイフを押し当てた。僕は抵抗を諦めた。
命を失うより、ヤられてしまった方がマシだと思ったのだ。
部室にはまだ半分の桜がいて、きっと部長が僕を待っていて、
ああ、視界が涙で揺らいでいく。
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