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「…涼介。おい、涼介っ」
「ん?」
教室から出てきたところを親友の
大貴に見つかって
思わず顔をしかめた。
「……んだよ」
「担任が呼んでたから探しにきたんだよ。…それよりお前、また」
眉をひそめてちらりと教室に目を
遣った大貴なら、
俺は視線を外した。
「二組の森本。…アイツがしつこかっただけで、俺は別に誘ってねぇよ」
「お前な…」
呆れながら、大貴が俺をたしなめようとしたとき。
「りょーうっ」
「ねね、トランプしないっ?」
俺に気づいたクラスメイトの女子たちが駆け寄って来て、取り囲み始めた。
…香水の匂いも、ジャラジャラとしたピアスもうざったい。
けど、追い払いたい相手ほど
笑顔になる癖が俺にはある。
「わり、俺、担任に呼び出し食らってるから。お前らだけでやっといて」
「えぇー、涼介なにしたのぉー?」
そのしゃべり方、うざい。
こんな女だったら
まだ可愛い男のほうが全然ましだ。
でも俺は笑顔を崩さないまま「あとでな」と手を降った。
「おい、涼介…」
「大貴。俺の代わりにトランプ入っといて」
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