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━━2018年1月17日━━
光はなく、自由の欠片すらもない。
出ることは許されず、罪人の為に作られたことを象徴するように、拷問に使うための拘束倶が備わっている。
唯一脱出出来そうな窓も、とても人間が届く高さじゃない所にあり、逃げ出すことは不可能。
そんな孤独な空間である、〝牢屋〟に俺の体はとらえられている。
俺の名は空乃 ショウ。
去年の暮れに15歳の誕生日をむかえた。
隕石の衝突から2年が、人類が地下へと姿を隠し始めてから1年が経とうとしている。
俺は一般人だった。
そんな一般人だったはずの俺は、もう2週間弱ここの牢屋に幽閉されている。
理由もなく。
掃除を全くしていないこの部屋の隅には蜘蛛の巣がはっていて、そこら中はホコリで溢れている。
唯一の出入り口は豪勢に鍵が4つ程かけられており、絶対に逃げられないだろうと言うことが見てとれた。
ハハッ……俺が一体何をした?
この後、一体俺はどうなるんだ?
そう考えていると、収容所の扉が開き、何かの光が俺を襲う。
目を凝らして光の差す方向をよくみると、細身な男が懐中電灯を手にしていた。
どうやら看守の人が戻ってきたらしい。
「あの、看守さん。ちょっといいですか?」
普段は全くと言っていいほど会話をしない俺が喋り掛けたことで、少し戸惑っている様子だった。
もっとも、喋りかけないんじゃなくて喋れないだけどな。
なぜなら、この状況を理解するのに時間がかかったから。
「どうした?」
「なぜ、俺はここに幽閉されているんですか?」
「それは俺にもわからん」
「そうですか。じゃあいつ頃出られますかね?」
「それも分からん」
何もしらねぇじゃねぇかコイツ。
質問をし終えたところで、看守のケータイのアラームがピリリと鳴り響く。
「おっと、電話だ。すまねぇな。ショウ」
と言うと、再び出ていってしまった。
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