第0章 消え逝く命

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━━2016年11月5日━━ 一つの、甲高い警告音が鳴り響いた。 非常時、またはそれと同等の事態に陥ったときに鳴る、主に災害の時に使用されるベルだ。 『どうした?』 『ジ、ジルさん!大変です!』 ヘッドホンをしたオペレーターが、かなり焦った様子で話しかけて来た。 『取り合えず落ち着け。冷静さを欠いてしまったら出来ることも出来なくなってしまう』 私はオペレーターの男へと優しく語りかける。 焦りは、禁物。焦りは時に人の判断能力を低下させて、冷静かつ適当な結論が出せなくなってしまう。 『はい……す、すみません』 その言葉で少しばかり落ち着いたのか、オペレーターの声は静けさを取り戻した。 その様子を見た私は、本題へと切り出す。 『どうした?』 この質問に対し、オペレーターは再び取り乱しそうになりながらも、こう呟いた。 『……3つの〝巨大隕石〟がこの地球に接近しています』
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