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「うはぁぁぁわぁ……ねぇ、かえちゃん!告ってきてもいいかなっ!?」
「…いいともー。」
「よっしゃぁっ!!」
「とでも言うと思ったか。」
美少女の下に駆け出そうとする杏の足を引っ掛けて転ばせる楓。
一回しか着ていない新品の制服がもう汚くなった。
「いたい!かえちゃん酷い!!酷いかえちゃん!!」
「ダメっつても聞かないバカに使う気はない。」
「かえちゃんが鬼。」
「アレ?今更知った的な?」
「ううん。昔から的な。」
「…あ、女の子行っちゃったね。」
先程の美少女は、いつの間にか校舎に入ってしまったようだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!行っちゃったよ!?かえちゃんのアホバカキチク!!」
「……私を罵ったのはこの口か、あぁん?」
「ひぃーぁへん。ああいへふああい。ひひへふ!ほっえひひへふ!!!
訳(すいません。ごめんなさい。はなしてください。千切れる!ほっぺ千切れる!!)」
杏の口をこれでもかと引っ張っていた楓は、気が済んだのか、『ピンッ』と杏の頬を離した。
「あうっ」と情けない声が杏から漏れた。
「まぁ、そんな悲観する事でもないんじゃない?」
「うぇ?」
「さっきの女の子が入ってった学校が、私達の入る学校だし。」
「そっか!!」
杏は大きな声で叫び、校舎に向かい全力疾走した。
「ちょ、杏!!カバン、カバン!!!」
後ろから、杏が落としたカバンを拾って楓が追いかけた。
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