プロローグ

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本当はずっと前から知っていた。 気付かないフリをしてただけで。 …気付きたく、なかっただけで。 稔が私に笑いかける度に、胸が温かくなること。 稔が私以外の女の子と話していると、胸の奥がチクチクすること。 稔が私を呼ぶ声が、何よりも響くってこと。 稔が隣にいることが、何よりも落ち着いて、ずっと側にいて欲しいって思っていること。 でも気付かないフリをした。 傷つきたくなかったから。 稔が好きなのは私のお姉ちゃん。 だから、応援することにした。 自分の気持ちにフタをして。 フタをした事もいつしか忘れて。 応援することにした。 稔には幸せになってほしい。 フタをする前から、そして今もずっと、思い続けてる。 それが私の使命。 稔が1番大切だから。 誰よりも大切だから。 この気持ちに答えを出すことはしてはいけない… 稔が幸せになるなら、私も幸せだから。 稔が笑ってくれるなら、私も嬉しいから。 私はただ…それだけでいい。 .
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