町の灯潤んで揺れる

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「クアッ!ビールが染み込むぅ」 「昼飯も食うてへんのやろ?」 ヒナは串に刺さった焼き鳥をバラしながら虚を突く。 「食うてる暇なかってんもん」 俺はバラされた鶏肉を片っ端から食う。 「確かにクレーム処理中は食う気にはなれへんな」 「そうやろ?」 ヒナはキュウリのお新香を自分の取り皿に全部寄せる。 あ、これや。 こういう気遣い。俺がキュウリ嫌いやの知っとるから、何も言わんと避けてくれんねん。 こういうちょっとの気遣いの積み重ねが、営業でも活かされるんやろなぁ。 俺ほんま気ぃつかへんもんな。
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