涙のバレンタイン

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高校を卒業して、私は、私の事を知らない町に来た。 私なんか、生きててもしょうがない人間。 大切に育ててくれた母のために、せめてお金を稼いで送る。 可愛い妹の梨華… ゴメンね、こんな姉ちゃんで… 梨華は、素敵な彼氏見つけて幸せになって欲しい… 好きな道を歩んで欲しい… 私は、大好きな梨華を大学に行かせるためにお金を貯めた。 夜の仕事に就いた。 昼間の仕事より稼げるし、あんまり人と遭わなくて済む。 私は、夜の工場で力自慢の男に混じって働いた。 てんかんの病気は、隠していた。 正直に言ったら採用してくれる会社なんて… もしかしたら、そんな良心的な会社もあるのかも知れない。 私は、初めからあきらめていたんだ。 何もかも… 期待して裏切られるより初めから何も期待しない。 そうやって生きてきた。
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