誘惑

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林君は、店にちょくちょくきてくれる常連客で、職業は自衛官だった。 年も近く、 気を使わなくていいタイプだったので、林君が来たときは進んでその席に着いた。 林君は、店のお姉さんを好きで通っていたのだが、 そこは色恋の世界ですので、それはお姉さんの魅力の結果ですね。 こればっかりは、 なんともいえない。 私はお客さんと、 付き合ったりはなかったが、 恋したことはもちろんある。 普段、昼間の仕事だけでは、 出会えることもない人と 出会うことができて、 お話できるのも、 夜の世界だからだ。 実際それで、付き合う人なんてゴロゴロいるし、そのままゴールインなんてことも、よく耳にする話だった。 実際、夜の仕事をしているキャスト側も、出会いのきっかけは、職場であるお店であることが多いようだった。 林君は、真面目な性格であったため、遊びで告白するような人ではない。 もうかれこれ、 2年はお姉さんを追いかけていて、そろそろしびれを切らしているといった状況であった。 そんなどんより空気の中に、 突然このお天気娘が、 「はじめましてー☆彡」 と席に付くようになったのである。 きっと最初は、 いやいやで席に置いてくれていたんだろう。 「新人だし・・・しょうがないか。」 といった感じで。 それが、意外と話が盛り上がり、友達感覚でぎゃぁぎゃぁ盛り上がれるくらいになっていた。 実際、その席はどの席よりも騒がしかった。
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