誘惑

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あるとき、 飲み屋でヒデと出会う。 なにやら、接待されて 飲みに来ていた側の人だった。 メンバーは、現場系なのか 結構日に焼けた、ガハガハ笑うタイプの団体だった。 普段は、大人数ではなく、 一人で行きつけの居酒屋や、 バーで飲んでるのが落ち着くと話す彼は、 35歳。妻子もち別居中。 別居中なので、遊んでいるのだとか。 会えば、ぐりぐり頭を撫でて、かわいがってくれた。 繊細そうに見えない、 超ポジティブ派の彼は、 バンドマンで、 ドラムをしていた。 最初はゲラゲラ笑って、 「ぜんっぜん似合わない!想像もつかないって!!」 と馬鹿にしていた。 それが、めちゃくちゃ地元では有名らしかった。 バンドには興味なかったし、 インディーズってゆう言葉すら耳に慣れない言葉。 アップテンポな持ち歌の数々は、ヒデが作曲してるんだって。 すごーーーい! 歌はすきだったから、 練習とかにもついていった。 そんなある日、 ヒデの知り合いの スタジオ主催で 新人ボーカルの お披露目パーティ?イベント?みたいなのがあった。 「顔出し程度するから、 ついてきて?」 といわれ、 休みを貰ってついてきた。 地元ストリートミュージシャンのなかでも、結構人気のある人や、本格的なボイトレをうけてる人もでてるらしい。 会場は小さなライブハウス。 地下で行われるが、 満員すぎて、階段から、 外の入口までも、人が溢れていた。 やっとで、ステージが見える距離までたどり着いた。
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