誘惑

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その頃に、 よく通っていたbarで、 しげと再会する。 何年ぶりだろうか。 しげは、私の初めての人だ。 一瞬、 声をかけて、もしもギクシャクした感じだったらどうしようと思ったが、その時はその時!と思い切って声をかけた。 結果、声をかけてよかった。 普通にフレンドリーな話をして、昔のこと振り返ってはずっと笑い転げた。 変わらないねって。 お互いフリーだとわかったとき、それは暗黙の了解だった。 特定に付き合うことは、 いまは無いという女。 しかも、昔の自分の女であるなら、たいてい男の人は 「割りきりのできる都合のいい女」とおもうだろう。 そう思われているだろうことは承知だったし、嫌ではなかった。 それは、 別に安売り的な発想ではなく 、 「彼には、いま私が必要なのかも」と思った。 「彼が呼んだんだ。だから再会したんだ」って。 唯一、 別れてからまた再会をした元彼である。 しげも昔からバンドマンだった。 「最近までね~こういう人と仲良かったんだァ♪」 という話の流れから、 しげは、 ヒデを知っていて 「何でお前そんな人しってんの!?」 て目を丸くしてた。 「女って怖いねぇ」 そういっていたが、 確かにたくさんの人たちの 考えを知れたり、 つながりが作れることは、 すごく新鮮だったし、 楽しかった。 沢山、勉強をさせてもらったと思う。 しばらくして、 しげのバンドが インディーズからデビューを果たし、上京することになったのでそこでサヨナラとなった。 その旅立ちは、 すごくすごく 輝いていたし、 私もそこにいて誇らしくもあったし、身体だけは壊さないようにねって思いで見送った。 いまでも元気にやってるので、 たまに見かけたときは、 頑張れって心の中で応援してます。
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