誘惑

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そうして、 初めて出勤することとなったお店だが、 まいが勤める店の向かいにある《MOMO》という店。 そのお店のママは、 四十後半くらいで、 昔はかなりの美人だったろうなぁと思える掘りの深い顔立ち。 ただ、 それゆえに とっつきにくそうで 噛まれそうで、怖そうな人だ。 この町には、 いくつかの飲み屋が集まる集合したゾーンがある。 主要になっている《タワー》という、飲み屋だけのビルで何十件も入っていた。 田舎の飲み屋だから、 それ位のの規模ではあるが、 中には、 おかまバーやコスプレパブといった、当時では物珍しい店もあった。 「おはようございます。」 店に入った私は、 中で回転の準備をしている ちょっと雰囲気的に偉い立場の人かな?という人にあいさつをした。 「今日からよろしくお願いします。‥すみませんが、ママはいらっしゃいますか?」 「あぁー、ママは何店舗かお店もってて、いつもはココにはいないのよ。いつもは上。」 上?上の階ってことか。 「あの・・・ではあいさつを‥」 「そんなのいいわよ。この店を任されてるのは私だから。私が言っとく。」 淡々とクールに話すこの人が、いわゆるチーママみたいだ。 なんと! グッチのでかいバックをもっている! すごい! 夜ってそんなに稼げるのか~ 「一応、制服あるんだけどさぁ、ごめんね九号しかなくて‥あなた、入らないでしょ?」 くすっと笑われたような気がした。感じ悪いなぁ‥ 物によっては入るけどなぁ・・・。 「パツパツなのって、みっともないし。」 サクっと 刺されたような感覚だ。 「黒スーツなら、適当に着てきていいから。」 「あ‥はい‥」 「じゃまず掃除から!床全部掃除機かけてトイレ掃除もお願い。毎日きたらしてちょうだいね。」 雑用かよ‥って、 想像と違うなぁ‥ 掃除機の場所を聞き、 ひっぱりだしてかけはじめた。
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