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   かくいうオレだって昔はそう思っていた。  あの赤い瞳を見るだけで目の前が真っ赤になってそのせいで……。  今でも思い出す。  全身を打つ雨。広がる血。 「ッ――――!!」  脳裏によぎったイメージを頭をふってかき消す。  その姿を待っていたかのように猫が動いた。 “しまった……!”  慌てて猫を目で追うが、確実に一撃で殺られることは目に見えていた。  だが猫はそんなオレを置いて瓦礫の群れを飛び越えて行ってしまった。 「ふう……」  構えを解いて空を見上げる。 「こんなんだからアンタ死なせちまったんだよな。先輩」
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