根元

3/5
前へ
/5ページ
次へ
カタカタ…カタッカ…カタカタカタ 弟「……出来たかい!?兄さん?」 兄「さっきからうるさいぞ。あと少しだから少し集中させてくれ…。」 弟「仕方ないじゃないか!何年もかけてここまで来た『コレ』がもうすぐ完成するんだよ!?兄さんはワクワクしないのかい?」 すると兄はめんどくさそうに弟の方を向き、言った。 兄「するに決まっているだろう?だが、私達の努力を無駄にしないためにも、最後の最後まで手を抜く訳にはいかないんだ。」 そして再び、やたら難しそうな数列の並んでいる画面に向き直り、キーボードに手を置いた。 弟「……別に手を抜けって言ってる訳じゃあ…。」 そう言って弟はコンピュータの脇に置いてある1組の『コレ』を少し眺め、拗ねたように部屋から出て行った。 兄「ふぅ…、なんでこんなにせっかちなんだか…。」 兄はボソッと呟くと、机に置いてある、既に冷めてしまったコーヒーをコクリと一口飲み、再び自分の世界へと入っていった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加