其の壱:源義経(前編)

2/5
前へ
/5ページ
次へ
昨今の歴史ブームのおかげで、若干割を食った感じが否めないけど、やっぱり日本史上最大級の人気者。 や、この人から歴史に興味を持つ様になった人ってのは、各世代にかなりいるはず。 かくいうカラビも、小学生の頃読んだ子供向け小説が歴史好きの原点。 天才的才能に恵まれ、仲間と共に戦場を縦横に駆け巡り、大活躍をしながら実の兄と仲たがいし、僅かな供廻りと、追っ手をかわして逃避行。 最後は頼って落ち延びた先で裏切りにあって討ち死! さすが『判官びいき』の語源になった人物! 日本人好みのカタルシス満載の人ですよ!? 確かに目立つ部分のみ見ていると 『悲劇のヒーロー』 でもね? ある程度社会経験を積んでから、色々な資料とかを見てみるとね、正直印象が変わる。 単純に『悲劇のヒーロー』とは言い切れないと思うのですよ。 多分この人、敵味方を問わず同時代の武士からかなり嫌われていたのではないかと思うのです。 え?敵はともかく、味方からってどういう意味かって? ちょいと考えてみて下さいよ。 多少の誇張、脚色を考慮したとしても、史実を見れば義経参陣以降、源平の力関係は劇的に変化していきます。 まぁ義仲が下地は整えましたけどね。 少なくとも、軍事的成功を重ねて、平家に反攻の機会を与えず、打倒したのは義経の手柄です。 講談に描かれる神懸かりな革新的戦術を本当にやったかどうかは置いといても義経は『軍事的天才』にして『常勝将軍』な訳ですよ。 何を今更と思うかもしれないけど、ここ重要! だとしたらね? 頼朝との対立が明らかになった時、何故孤立したのか? 普通ね?こういう場合、国を二分する抗争に発展する可能性が高い訳ですよ。 特に、血筋的に(一応)問題のない有能な将軍が中央と揉めた場合。 担ぐヤツってのが、必ず出て来る。 体制や待遇に不満を持ってるヤツってのは、不満の根拠は別にして、一見地位を保証されてる様に見える連中に結構いる訳ですよ。 そういう側から見れば、自分の境遇を逆転させる為の最高の『神輿』。 ましてや、当時の帝から 『頼朝やっちゃっていいよ!』的な許可証まで出されてた訳ですから、大義名分も充分。 駄菓子菓子! 結果は今更語るまでもなく、有力な武家にそっぽ向かれる始末。 頼朝にどれ程の政治力とカリスマ性があったとしても、ちょいと差が付きすぎ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加