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丸々としたその肉の塊が自分だなんて思いたくない。
かつてはこの姿見の前に立つのが好きだった。
オシャレをして、全体のバランスを見て、鏡に向かってニッコリ笑ったりした。
そんな自分を思い出して、姿見から目を反らしてドアを開けた。
玄関を開けると一層寒い。
あ、雨降ってたんだ……。
あたしの部屋はカーテンを閉めっぱなしにしてあるから気付かなかった。
傘を差して、門を出る。
誰にも見られたくないから、俯きながらコンビニに向かう。
近所の人と出くわして声を掛けられるのが一番イヤだ。
コンビニに向かう途中も、信号待ちしている車の中から見られている気がして、更に俯いて歩く。
醜いのは分かってる。
分かってるから見ないでよ……。
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