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ケータイを見ると、今日は木曜日。
あともう少し……。
栄くんが来るのは土曜の深夜。
3時間かけて会いに来てくれる。
「すーちゃん、薬は?」
スピーカーホンから栄くんが聞く。
「さっき吐いたばっかりだから、後で飲む」
「忘れずに飲んでな」
「うん」
「ちょっと寝るわ」
「うん」
栄くんは仕事が忙しくて、昼休憩に車で寝るのが当たり前だった。
お互いスピーカーホンにして、ただ無言。
でも、何も喋らなくてもケータイの向こうで寝ている栄くんを感じられたら、それで安心する。
13時になるまで、そのまま。
あたしは煙草を吸いながら、飼っているハムスターのモモを見つめた。
本棚の真ん中辺りがモモの住まい。
モモは餌を頬張って頬っぺたを膨らましている。
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