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『ソナー装置を使えば、どこに隠れても貴様の位置を知ることができる。例え炎を使い、サーモグラフィを封じてもだ』
大きくふき飛び、道路上を転がるスペンサーに向かって、自信満々に言い放つMrマネージャー。
「ぐッ、なんでもありかよ!」
大通りを体で滑っていた彼はそうつぶやくと、強引に体勢を立て直して起き上がり、地面に両足で制動をかけて止まる。
そこから銃を前に向け、再び突っ込んでくる巨体を睨みつけた。
(狙うはタンクか、換気口か……)
頭の中でスーツの弱点であろう場所を復唱し、そこを撃ち抜く方法を考える。
その間は回避に専念することにし、次の蹴りは受け止めずにのけぞってかわした。
(……問題はそこを狙った時、シールドが展開することか)
Mrマネージャーの発言に耳を貸すことなく、作戦を考えながら手を使わずに後ろへ宙返りする。
そうすることで蹴りの次に繰り出されてきた拳を回避し、バックステップを数回続けて再び距離を置く。
(シールドを展開するのはタンクの仕事だな……なら、攻撃を当てることができる箇所とチャンスは限られてる)
スペンサーが狙いを定めたのは胸の左右にある換気口。
密閉されたスーツ内に空気を送る為、あの場所は定期的に開閉し、中の換気を行っている。
彼はそれが開いた瞬間に胸を撃ち、中へ炎を送り込むことを考えた。
が、
(その時にシールドが展開するなら、撃っても意味はねぇ。最初からタンクを狙った方がいいかもな)
エネルギーを体の周り、球体状に展開する“ドルオン=シールド”の存在が、スペンサーに迷いを生んでいる。
『避けてばかりで反撃はなしか。つまらんぞスペンサー・ネックエール! これでは前と同じではないか!』
指先に集束させたエネルギーを、前方へ向けて放出する。
左手の指全てから放たれる五本の細い光線は、地面のアスファルトを切り裂き、破壊してスペンサーに襲いかかった。
(……とりあえずタンクを狙ってみるか)
それを容易くかわしたスペンサーは、軽く跳躍するとアイムの火の粉を真下へ、アミィの火の粉をスーツの頭部へ発射。
爆風で高く飛び上がり、かつ炎でMrマネージャーの視界を塞ぐ。
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