その男、探し屋

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「……ボロッ!!」 ……だった。 前方に見えるのは、二階建ての一軒家。 普通だと思えるのはその事実だけ。 周りと比べると、明らかにおかしい。 この城下町は、白いレンガの家が基本でほとんどを占めてるが、ジェシーが見ているのは木造の家。 それも傷だらけで、今にも崩れそうだ。 入口は傾いており、その右横には大きな穴を鉄板で強引に塞いだ痕。 さらに、どう見ても木が腐っている。 しかし、一階と二階に付けられた窓のガラスだけは、新品同様に綺麗だった。 彼女はそこに、無理矢理感を覚える。 「ま、外見は気にすんな。住めば仏って言うだろ?」 「都よ、都」 二人は建物に近づき、歪んだ入口のドアの前に立つ。 そこで気づいたが、ドアの上には汚い赤色のペンキで“探し屋”と書いてある。 所々にペンキが垂れているため、血で綴ったダイングメッセージのようだ。 「よし、じゃあ中で話をするか。ビジネェスの話を」 腰に手を当て、スペンサーは笑顔で自分のボロ屋を眺める。 本当に住めるような家なのかがジェシーは気になったが、もう諦めることにした。 「中には俺の“相棒”がいるから、ちゃんと挨拶してくれ」 言いながらスペンサーがドアノブに手をかけると、鈍い音と共にそれがとれた。 「あ……」 一瞬だが硬直し、彼はとれたドアノブを見つめる。 だがすぐに投げ捨て、蹴りつけることで無理矢理だがドアを開けた。 「さぁ、ようこそ」 そうは言われても、ジェシーの中では諦めた不安が増すばかりだ。 それでもスペンサーの後に続いて、ボロ屋の中に足を踏み入れる。 「え~っと……」 まず何からツッコめばいいのか、中の状態も酷かった。
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