その男、探し屋

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スペンサーが本を取り、その内容に目を通す。 まずは表紙を眺めるが、かなり古びているため、何が書いているかわからない。 「丁重に扱ってよ? 貴重な一冊なんだから」 「……ああ」 そう言って彼がページをめくると、横から本の中身をトニーが覗き込む。 ページには文字が綴られていた。 だが、今は使われていないような古い文字だ。 パラパラと迷いなくページをめくり続け、一通り内容に目を通す。 途中で絵のようなものも見えたが、意味はまだ解読できない。 「どう?」 険しい表情に変わったスペンサーとトニーに、彼女は机上に頬杖をついて尋ねてきた。 「“ログロット教”の文字だな。500年前に滅びた文化で、今はもう使われていない」 本を閉じて机に置き、腕を組んで椅子の背にもたれる。 隣にいるトニーはあごに手を当て、何かを考えているようだ。 「読めるの?」 二人の知識の豊富さに、ジェシーはさらなる希望を抱いている。 “ログロット教”とはその昔、とある東の土地で栄えた民族が崇めていた宗教だ。 その民族は鳥を神と崇め、崇拝していた。 滅んだ理由は謎だが、いくつもの説が浮上している。 「その本は、“ログロット教”の司祭が残したものよ。彼らはある力を持っていたの。その力は、秘宝に関係しているわ」 「つまり、この日誌が“ログロット教”の秘宝に繋がる地図ってことか」 「ええ、その通り。その日誌だけでも、“倉庫”に保管できるほどの価値があるハズよ」 本を取り、ジェシーは笑みのままに言い放った。 「読めないこともねぇが、正直なところ難解な文字だ。古い文献が必要かもな」 スペンサーはトニーへ視線を送り、コンタクトをとる。 しかし、彼は首を横に振っていた。 「絶対に嫌だ」 そして、そう言葉を返す。 「何がよ?」 ジェシーは理解できていないようで、ポカンとした表情を見せている。 すると、スペンサーが浅いため息をつき、有力な情報源を口にするのだが、 「“ログロット教”に詳しい奴を一人知ってる。そいつに聞いた方が早いんだが……」 「絶対に嫌だ!」 トニーは、なぜか断固拒否している。
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