その男、探し屋

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「知ってる人がいるなら、聞いた方が早いんじゃない?」 ジェシーはとりあえず、まったくもっての正論を投げかけてみた。 だが、トニーを見る限りではそうもいかないらしい。 黒いサングラスはまた歪み、わけのわからない掛り方をしている。 「まぁ、その方が早いんだけどよ、俺もできれば会いたくねぇ」 スペンサーも、冷静に話してはいるが脂汗ダラダラだ。 「何者なの? 知り合いなんでしょ?」 「武器の密売人だ。いろんな大陸で手広くやってる。今は確か、この国にいるハズだ」 スペンサーから聞けば、その“女性”はかなり危険な人物らしい。 この世界には七つの巨大な大陸があり、ここジルバ王国はそのひとつ、“デァマルド大陸”に属している。 大きさで言えば三番目。 位置的に言えば西の大陸になる。 その七つを渡り、武器の密売を行っている女性。 それが、“ログロット教”に詳しい人物の一人なのだが…… 「俺達は二人共、彼女から金を借りてる。いくらかって? 俺の保釈金が可愛く見えるぜ?」 「聞いてないわよ」 ジェシーは肩を落とし、日誌を見つめた。 有力な情報が手に入れば話は早いのだが、二人の様子からして実現はできなさそうだ。 「で、他の方法は?」 「まぁ、日誌を見れば大抵のことはわかりそうだな。あとは“ログロット教”について調べて……っていうか、何の秘宝かわかってるのか?」 不意にスペンサーが尋ねると、ジェシーの顔に笑みが戻った。 当然、彼女は日誌の前半を解読し、何の秘宝が隠されているかを解明している。 「“空に隠された扉”……“エターナル・エントランス”よ」 それを聞いた二人は、顔を見合わせ、同時にしかめた。
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