その男、探し屋

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空に眠るという伝説の秘宝“エターナル・エントランス”。 ジェシーの目的は、数ある秘宝の中でも入手難易度はAクラス。 ランクはA~Fまであり、最高難易度に指定される物はSクラスとも呼ばれる。 今回はAクラス。 つまり、入手が困難極まる秘宝のひとつと言える。 スペンサーとトニーはしばらく顔を見合わせた後で、やはり同時にジェシーへ視線を戻す。 彼女が狙っているものは、大勢の探し屋や探求者、探検隊達が発見に挑戦し、断念したとされている秘宝。 “ログロット教”がこの世に遺した、伝説の遺産だ。 「よりによって、“エターナル・エントランス”かよ」 トニーが浅く息を吐き、後頭部を掻きむしる。 「探したことはある?」 「ねぇよ。伝説は何度も聞いたがな」 スペンサーも同じくボサボサの金髪を掻き乱し、目を伏せた。 ジェシーは自分が求める秘宝の難易度くらい、十分に理解している。 だからこそ、腕利きと噂される二人を訪ね、こうして依頼を持ちかけているのだ。 しかし、二人はあまり乗り気ではない。 「“彩壇島”に行く気か?」 “彩壇島(さいだんとう)” スペンサーが口に出したその島に、ジェシーが求める秘宝が眠っている。 だが、その島自体も秘境のひとつ。 秘宝を見つけるにはまず、島を探すことから始めなければならない。 かつて、“ログロット教”が栄えた地図にない島。 島探しからの秘宝探し。 故にランクはAクラス。 時間と手間がかかる上に、危険度も高い。 二人が警戒する理由はそれだけではないが、ジェシーは諦める気など持ち合わせてはいなかった。 「金なら、いくらでも出すわ。あたしは、“エターナル・エントランス”を手に入れなくちゃいけないのよ」 スペンサーとトニーはもう一度、顔を見合わせて小声で密談。 今ある手掛りは古い日誌のみ。 秘宝を追うには、もっと詳しい情報がいる。
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