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スペンサーはもう一度日誌を受け取り、今度は真剣に内容を見直す。
“ログロット教”は昔に、鳥を神と崇めていた。
その島の挿絵が、古い筆のタッチだが描かれている。
見たこともない、異形の鳥。
翼は七色の羽根に覆われ、鋭く太い嘴。首は白い綿のような皮膚に包まれており、赤い脚が四本ある。
挿絵には人の姿もあるが、それと比較すると、描かれた鳥の“巨大さ”が見てとれた。
そして、横には彼らが使用していた古代の文字。
ページをめくると、文字の列が姿を現し、所々に挟まれた挿絵には鳥の絵や、謎の立方体。
「……わけわからん」
スペンサーは日誌をトニーに渡し、つぶやく。
依頼を受けるか否か。
本当なら悩みたいところだが、一文無しのところへ飛び込んできた久々の客。
これをみすみす逃していいほど、“家計”は安定していない。
「“彩壇島”は呪われた秘境って噂も聞くぞ? だいたい、エターナル・エントランスがどんな秘宝か知ってるのか?」
そう尋ねるトニーも、文字の解読に失敗したようだ。
いくら知識が豊富とはいえ、滅んだ言語を文献無しに読み取れるほど優秀ではない。
「もちろん、知ってるわ。“不死の秘宝”。空の扉が開く時、封じられた力が解き放たれる。つまり、扉をくぐった者は不死の力を得ることができる」
「まだ若いのに、不死を求めるのか?」
「あたしには必要ないわ。恩人の為」
スペンサーに言葉を返す彼女は、どこか切なげな表情を見せる。
二人はそれ以上、問い詰めたりはしなかった。
依頼人の個人情報を、深く知る必要はない。
それが、彼ら二人のモットーでもある。
「とりあえず、仕事は承けさせてもらう。トニー、準備だ」
「よしきた」
ジェシーへ日誌を返し、スペンサーは依頼を承諾。
ここから、秘宝を求めた冒険が幕を開ける。
闇に潜む陰謀が動き出す時、二人は何を思い、何を見るのか……
狙うは不死の秘宝
エターナル・エントランス。
果たして、ここからどうなることやら。
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