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「いつまで持ち堪えれますかねぇ!?」
腕を振り、鞭が巻きついた扇子から微力な風を発生させる。
それが原因で急加速した鞭は、スペンサーの上半身をもろに弾いて脳天には扇子が叩きつけられる。
「ッ……!?」
一瞬だがぼやける視界。
直後には凄まじい突風が彼の周囲に吹き荒れており、なす術なく壁に激突する。
「お……ッぐ!」
その場に座り込み、悶絶。
次の瞬間には鞭によって顔面を弾かれ、横向きに倒れたところを狙って腹部に扇子を突き刺された。
「がはッ!!」
口から鮮血を吐き散らし、脱力するスペンサー。
腹にめり込んだ扇子からは風が放たれ、彼を壁に強く押しつける。
「まだ銃を放しませんか、見上げた根性ですよ。しかしあなたでは私に敵わない……諦めなさい」
手元に武器を戻し、扇子に巻きつけた鞭をほどく。
そうして再び両手に二つの宝具を握り、不気味に微笑みながらゆっくりと倒れている彼に歩み寄る。
「あなたは殺すより、捕えた方がいいのかも知れませんねぇ」
“元超人集団”はM・クラフトへ献上せよと、リックスは前に言われたことを思い出した。
「あの小娘も昔にどこかで見たような気がするんですよねぇ。でも、あなたほどの価値にはならないでしょうし、今は放っておいても良いでしょう」
リックスの意思だけで動く黒い鞭が、スペンサーの首に絡みつく。
そして強引に彼の体を持ち上げ、力強く締めて意識を奪った。
「か……かは……っ……」
気を失い、宙に浮いている彼の足元に黄金の二丁拳銃が落ちる。
「なぜ“解宝”しないのか不思議でしたが、後でゆっくりと教えてもらいましょうか」
ジェシーは逃がせたが、スペンサーはリックスに捕えられた。
立方体への道のりは険しい。
さらにはもう一組のところにも、脅威なる実力者が迫っていた。
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