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「“スタントマン”!」
ライスが言い放った名前に、隣のトニーも驚愕した表情を浮かべる。
世界を恐怖に陥れ、日々新聞をにぎわせているテロリスト達。
彼が口にしたその名は、その中でもトップ5の危険度を誇る犯罪者のものだ。
通称 スタントマン。
本名は不明だが、全世界に指名手配されている謎多き男。
何度も死ぬような場面に直面しているが、彼はそれを無傷で生き延びてきた。
自身を大泥棒や怪盗と名乗っては、数々の宝石や現金を盗む悪人。
彼は“とことん”を追求しており、いくつかの国の予算を全て盗み尽すという悪行が有名だ。
「こ~んなところにいるも何も、俺は常に金とスリルを求める男だかんな。それよりもこっちがびっくりだって~の」
スタントマンと呼ばれた男は二人を指差し、頬を掻きながら言葉を返してきた。
「ここはルックスランドであってるよな? 間違ってないなら、なんで“組織”に追われてる男がこんな場所に居んだ?」
「それはお前さんも同じハズだ、何が目的でこの国の中枢に潜入してる?」
「あり? さっきから喋ってるのは“シフトフェイス”か? 有名人が二人もいんのか」
マイペースで言葉を放つ彼は、会話をする気はないのだろうか。
ライスは黙り込み、予想だにしなかったこの状況の打開策を練り始める。
「スタントマン? テロリストの一人がM・クラフトに何の用があるんだよ?」
代わりに口を開いたトニーが、質問を投げかける。
するとスタントマンは、欠伸をした後でそれに答えてくれた。
「世間は俺をテロリストだなんだと呼ぶっけどもな、俺はただの泥棒さ。んでからこの国にちょっとした噂があってな、真相を確かめに来たってわけよ」
「噂? M・クラフトが組織の一員ってことか?」
「違う違う、首都がカジノになってるこの国は、一番やっちゃいけねぇことをやらかしてるらしいからよ。調査に来たのさ~」
どうやらスタントマンは、M・クラフトと繋がりを持っていないようだ。
彼がこの国の用心棒だという最悪の事態は免れたが、油断はできない。
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