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「とっころでよ、あんたらはなんでここにいんだ?」
今度は逆に、スタントマンからの質問が飛んできた。
ライスは腕を組んで眉を潜めるが、トニーは目的を話しても支障はないと判断する。
「俺らは秘宝探しだ、厄介な依頼だが最近は仕事がなくてよ」
「ってぇと、炎の相棒も一緒ってわけっだな。今は別行動中かい?」
「まぁそんなとこだ。お前も一口乗るか? 分け前は弾むぜ?」
そしてトニーは、大胆な策を実行する。
ライスは彼が発した言葉に驚いたが、今はまだ口を挟まない。
「な~んの秘宝だ? 安っぽい仕事(スタント)はやらねぇぜ?」
スタントマンは食い付いた。
トニーは彼を味方につけることで、立方体奪取の成功率を上げるつもりだ。
助っ人なしの潜入となってしまっている今、彼ほどの男が協力してくれると心強い。
ライスもそれを察したようだが、まだ浮かない表情で会話を聴いている。
「不死の秘宝、“エターナル・エントランス”だ。Aランクだし、安っぽくはねぇと思うがな」
「へぇ、“ログロット教”が隠した最後の遺産が狙いってか……悪くないっけどもな、不死にゃ興味ないんだよ」
スタントマンという男は、自ら危険に飛び込むことを好む“死線中毒者”。
常にギリギリのスリルを味わうことを自分の生きる糧としているので、不死には全く興味を示さないのだ。
死線は死線だからこそ価値がある。
不死となってそこへ飛び込んでも、スリルは得れない。
しかし、
「手伝ってくれたら、俺が受け取る報酬金の半分をくれてやってもいいぜ? 金には興味あるか?」
トニーはゴリ押しで、口からでまかせを言い放つ。
「おい……」
さすがにライスが止めにかかるが、
「俺は詐欺師だ。黙ってろ」
小声で一蹴された。
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