ルックスランド地下街

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それに対してスタントマンはあごに手を当て、何やら真剣に考え込む。 「当然、泥棒の俺が金を好きじゃないって言やぁ嘘になっちまうっけどな、それまでの仮定が大切なんだよ」 「安心しろ、相手はM・クラフトだ。危険度の血統書付きだぜ?」 トニーの即答を受けて、彼の口元が緩む。 確かにM・クラフトは数いる独裁者の中でも危険度は上位。 それに元々、彼は偽札を暴くことでM・クラフトに喧嘩を売りにきたのだ。 「よっしゃ、なら俺も乗らせてもらうっかな。で、何をすりゃいいんだ?」 右手の中指にはめた木製の指輪をさすり、再び質問を放つスタントマン。 トニーの作戦はとりあえず成功したが、まだまだ懸念すべき要素もある。 しかし、やはりここは彼という戦力を保持するのが得策。 ライスも、一応は陽気な犯罪者を受け入れることにした。 「お前さんは確か、泥棒業の他に“逃がし屋”をやってたよな?」 自身が持つスタントマンの情報を全て引きずり出し、トニーに合わせて作戦を立てる。 「それもやってっけどよ、最近は誰からの依頼もこねぇし廃業寸前だ」 肩をすくめ、ため息混じりに言葉を返す。 だが事実上は、“逃がし屋”を経営中ということだ。 「今から俺達は、かなりの危険を冒す。もしかしたら捕まる可能性の方が大きいんだ」 「な~るっほどぉ、じゃあ捕まったあんたらを解放すればいいんだな?」 「まずはな。後のことは追々説明するとして、今は別行動をしよう。お前さんは偽札でも金庫の金でも好きに奪いにいくといい」 「了解だ。久々の客だかんな、派手な仕事(スタント)ができそうだぜ」 そう言って、スタントマンは別の通路を進んでいった。 ここで強力な味方ができたのは嬉しい誤算だ。 もしM・クラフトに捕まっても、望みが潰(つい)えることはなくなった。 「なんで別行動だ? 一緒に立方体まで来てもらえばいいじゃん」 トニーは今のやりとりに少しの疑問を持ったようだが、 「まとめて捕まる可能性は0にしたいだろ? それに、偽札の話が本当ならそっちの方も進めておいた方が何かと有利だ」 ライスの説明で、すぐに納得した。
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