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「でもよ、まとめて捕まる可能性なんてあるか?」
トニーの言う通り、スタントマンの犯罪者としての危険度は世界でもトップクラスのもの。
ということは、彼はかなりの実力者だと考えられる。
所持している宝具も、ランクが高いに違いない。
「だが、可能性は0じゃないさ。この国の警備を甘くみちゃいけねぇぞ?」
「ふ~ん……ま、いっか」
あまり深く考えず、トニーとライスは再び立方体を目指して進むことにした。
今の嬉しいハプニングで、かなりの時間が失われた。
二時間でホテルに帰還するには、急がねばならない。
だが幸い、大人数の警備員と出会(でくわ)すことはなかった。
限りなく順調に、かつ素早く目的の部屋へ近づいていく。
そこで、目の前に現れたのは巨大な分厚い鋼鉄の扉。
それが壁のように通路を遮っているため、二人は一度立ち止まるしかない。
「あら? この部屋が立方体のある部屋だっけ?」
「違うな、でもここを抜けないと目的地にたどり着けない」
トニーの淡い希望も一瞬で打ち砕かれ、まずは最初の難問。
しかし、これが最大の難問であることを、二人はまだ気づいていない。
「とりあえず開けるか」
ライスがつぶやき、扉を軽く押してみる。
「どう?」
「予想通りだな」
扉はびくともしない。
おそらく、全力で押したところで意味はないだろう。
「引くとか?」
「まさかそんな単純に……」
扉に鍵穴らしき場所は見当たらない。
なら、内側からしか開かない扉という最悪の推測が生まれてしまう。
だが、ライスが扉を引くと重い音が鳴り、ゆっくりとだが動いた。
「……単純だったな」
そのまま手に力を込め、一気に引いて道を開く。
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