七人の反逆者

11/19
前へ
/517ページ
次へ
ジェシーはスペンサーの不幸など気にせず、彼の口から出た名前に注目していた。 どこかで聞いた名前。 おそらくそれは、またしてもスペンサーという人間に関わる人物の名だ。 そしてその彼がエターナル・エントランスを探していたのなら、話は早いハズ。 だが、 「あいつが秘宝の情報を持ってても、聞きにはいけねぇな」 逆向きのトニーの口から、そんな言葉が飛び出す。 「そうね。知りたいなら私の知ってることを話すけど、レイドの持つ情報の方が明確ね」 リンジーも、彼の言葉と同じようなことを言う。 ジェシーには、それが理解できなかった。 その彼が同じ秘宝を探していたのなら、聞いた方が早いに決まっている。 「どういうこと?」 ジェシーはたまらず、リンジーに向けて胸の内に巣食った質問を吐き出す。 「レイドは……まぁ、私達の“知り合い”なんだけどね……」 「俺達の“知り合いシリーズ”は酷いぜ? その女を見ろよ!」 上からスペンサーの罵声が聞こえ、リンジーが彼を縛る鎖を大きく揺らす。 振り子のように、何度も何度も。 「何者なの?」 「“テロリスト”だ。生物学者まがいの危険人物で、この国は違うが、いろんな大陸で指名手配されてる。今はどこにいるかわかんねぇよ」 トニーから情報を聞き、ジェシーの中で繋がった。 「レイドって、レイド・フッズエールのこと? あの野蛮な殺人鬼?」 「ああ」 「そうよ」 何かを思い出したような表情で質問するジェシーに、二人の答えが同時に重なる。 有名なバイオテロリスト。 彼は今、どこかの国で何かを企んでいる。 情報をもらうのは、不可能に近いだろう。 「結局、エターナル・エントランスは諦めたらしい。何があったかは知らねぇが」 トニーが言うと、ジェシーは深くため息をついた。 彼が言った“知り合いシリーズ”。 彼女はそれを、自分で調べて知っていた。 “テロリスト”、“武器商人”、“詐欺師”、“海賊”、“暴力保安官”、“泥棒”。 スペンサーの周りは、危険がいっぱいだ。
/517ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20167人が本棚に入れています
本棚に追加