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「じゃあ、とりあえず私が知ってる情報を話すわ。でもその前に……」
鉄製の櫛に触り、天井から伸びる鎖を操作。
すると、二人はやっと拘束から解放され、床に落ちて打ち伏せる。
トニーはまだ解放されてもよかったが、
「ぐえ!」
スペンサーが落下するには高度がありすぎた。
「痛ッ……て!」
思い切り後頭部を強打し、そこを押さえてのたうち回る。
「“ログロット教”のことには、いろいろあって詳しいの。何から話したいいか迷うとこだけど……」
そんな彼を無視して、話は進む。
トニーも話の方に興味があるようで、ゆっくりと立ちあがるとサングラスを掛け直し、足首を回して柔軟運動をする。
リンジーは自分が持つ情報を頭の中で整理し、手順を考えていた。
そこへ、ジェシーが例の日誌を取り出す。
「これは“ログロット教”の民族が残したものなんだけど、訳せる?」
それを彼女へ手渡し、解読の期待を寄せてみた。
リンジーは日誌を受けとるとすぐにページをめくり、内容に目を通す。
「古いわね……文字が霞んでる部分もあるわ」
「文字は読めるのか?」
「全部じゃないけど、あんた達よりはね」
横から日誌を覗き込んでくるトニーに言葉だけを返し、さらにページをめくる。
そして、ある場所で手を止めた。
「これをどこで?」
質問は、ジェシーに向けてのもの。
「ある人物から盗んだの。Bランクの秘宝をいくつも持ち歩いてる変人よ」
言いながら彼女の視線は、トニーがはめている紫色の篭手へ。
「なんだよ? 俺を見るな」
「あんたはいくつもじゃないでしょ? Bランクの秘宝くらい、私も持ち歩いてるわよ」
トニーの篭手、リンジーの櫛。
それは数々の危険と苦難を乗り越えて入手できる、Bランクの秘宝。
床でのたうち回るスペンサーの首飾りも同じ。
「その人物が鍵ね。何かと知ってると思うわ。エターナル・エントランスの伝説を教えてあげる。その後でどうするかは、あんた達が決めなさい」
日誌を眺めた後、リンジーはジェシーに険しい表情を向ける。
Aランクの秘宝など、簡単に手に入るものではない。
だがしかし、スペンサーやトニーは狙った獲物は逃さない。
リンジーの話す情報から、秘宝のありかを導き出す。
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