20167人が本棚に入れています
本棚に追加
首都の街ごとカジノになっているその国に、エターナル・エントランスへの鍵がある。
秘宝を追うには、まずそこへ行くことから始まるのだ。
だが、ルックスランドへ行くにあたって、いくつかの不安要素がスペンサーにはあった。
両手を腰に当ててうつ向き、少しの間思考を回す。
論点は、この依頼を受けるか否かに戻ってしまっていた。
「あの大陸は、“奴ら”の本拠地よ? わかってるんでしょうね?」
それに追い討ちをかけるように、リンジーは念を押した。
トニーもまた、それについての議題で頭を抱えている。
“奴ら”とは、ルックスランドを支配するM・クラフトやその部下達ではない。
もっと大きく、ドス黒い陰謀を企てる組織のことだ。
スペンサー、トニー、リンジーは、その組織から追われる身。
故に、探し屋や詐欺師、武器の密売といった裏の事業でしか食い繋いでいけないのだ。
彼らは反逆者。
巨大な組織を裏切った七人の中の一人なのだ。
「あ~、面倒くせぇ。どうすっかな」
スペンサーは女性を信用しない。
それが彼のポリシーだ。
しかし、今は1文無し。
仕事をせねば、どっちにしろ死んでしまう。
「よし、決めた。エターナル・エントランスは手に入れる。ジェシー、ルックスランドまでのチケットを手配してくれ」
ボサボサの金髪を掻き乱し、スペンサーは腹をくくる。
リンジーはその決断に、あまり納得がいかないようだ。
が、反論は言わなかった。
「気を付けることね。奴らに見付かれば終わりと思いなさい。それと、金はいつ返してくれるのよ?」
ジェシーが忘れていた議題。
二人はこのまま誤魔化せるとふんでいたが、ここに来て再び浮上してきた。
「エターナル・エントランスを見つけたら、絶対に払いに来る」
「前にも聞いたわよ。別の秘宝の時にね。ま、私も仕事があるし、もう少しだけ待ってあげるわ」
「おお! さすが心優しいお姉様!」
「ふざけてると、はり倒すわよトニー」
話はまとまった。
三人は秘宝を求め、ルックスランドへ。
そこで起きるハプニングの連続。
謎多き秘宝が、すんなりと手に入るハズもない。
「秘宝を探す間、利子は増えていくからね?」
屋敷を出ようと彼らが踏み出した時、後方からそんな声が聞こえた。
スペンサーが振り返ると、リンジーは満面の笑みを浮かべていた。
―――――
最初のコメントを投稿しよう!