不死の力で滅んだ民族

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「ぐ……ぬ」 悶絶するM・クラフトの側に、スペンサーは警戒しながらも早い足取りで近づいていく。 周りの砂に動きはない。杖は握られたままだが、足の痛みに気をとられて振る素振りは見せていない。 それらを目で確認し、胸ぐらを掴むと仰向けの彼を強引に起こし、下顎に銃口を突きつける。 「冥土へやる前に、お前には聞いておかなきゃならないことがある……」 スペンサーの胸に渦巻く黒の感情がすぐに引き金を引こうとするも、ぐっとこらえて冷静さを保ち、質問を投げかける。 「俺の首飾りはどこだ? まさか、無法地帯に置いてきたってことはないよな?」 「フッ……ハハハ……」 返ってきたのは言葉ではなく、嘲笑。 スペンサーの顔が歪むが、M・クラフトは満面の笑みで彼を睨みつける。 「首飾りを取り戻してどうする? この先も無謀な戦いを続けるつもりか?」 「……てめぇには関係のないことだ」 「あるとも、私は“組織”の幹部候補だ。貴様ら七人が仕掛けた争いの無謀さは、十二分に理解できる」 スペンサーの視線は、自身を嘲笑う男の目でなく杖を握る手に向けられていた。 それを見て、M・クラフトの視線が彼の顔から外れ、下へと降りていく。 「ここで私を殺そうが殺すまいが、“組織”に損害はない。ルックスランドは一時的に荒れ狂うだろうが、すぐにそれを統治する代わりの者が現れる。“偽札”も同じことだ……」 「……なんだと?」 「貴様らが予想した通り、私はとある方法でG(ガーマ)紙幣を入手し、“偽札”を製造して世界中にバラ撒いていたのだよ」 スペンサーは視線を移さず、眉を潜めて絶句した。 「隠蔽工作にはそれなりの労力を費やしたが、バレては仕方がない。ただ、それを世間に伝える手段を絶つだけだ」
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