20176人が本棚に入れています
本棚に追加
力が、解き放たれる。
500年もの間、深い眠りについていた不死の力。それはM・クラフトの眼前にある祭壇の中央、その四角い柱から。
「……フハハ!」
1の面を上に向けられたサイコロが七色の輝きに包まれ、上方から空を覗かせている火口の外へ美しい光を放つ。
天を貫く光の柱。しかしそれは爆発するかの如く七方向に散開すると、まるで蜘蛛が巣を張るかのように島の各地へ煌めきを届ける。
その後で、光に誘われた雲が渦を巻き、火口を覗き込むかのようにゆっくりと、だが確実に島へと降りてきた。
続いて、七色に彩られた虹が山を跨(また)いで島を横断。橋を架けたかと思った矢先、島を縦断してきたもうひとつの虹と激突。
火口の真上で十字を描き、七色の閃光を散りばめて渦巻く雲をふき飛ばす。
そこから姿を現したのは、上下に開く黄金の扉。
それは鋭く、縦に湾曲して、先民が言い伝えた通り、薄雲が旋風をつくる空から先端だけを覗かせた。
待ちに待った瞬間が訪れた。
10年の月日を費やしてたどり着いた秘境、“彩壇島”。
そこに隠された秘宝、“エターナル・エントランス”が今、M・クラフトの頭上、遥か上空に姿を見せたのだ。
が、彼の顔に笑みは宿らない。
同じく空を見上げるスペンサーも、驚愕の表情を浮かべて呆然と立ち尽くしていた。
しかしそんな彼らを気にかけることなく、
「……ッ!?」
耳を塞ぎたくなるような音。
数億にも及ぶ人間や動物の断末魔が、島中に轟いた。
最初のコメントを投稿しよう!