エターナル・エントランス

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力が、解き放たれる。 500年もの間、深い眠りについていた不死の力。それはM・クラフトの眼前にある祭壇の中央、その四角い柱から。 「……フハハ!」 1の面を上に向けられたサイコロが七色の輝きに包まれ、上方から空を覗かせている火口の外へ美しい光を放つ。 天を貫く光の柱。しかしそれは爆発するかの如く七方向に散開すると、まるで蜘蛛が巣を張るかのように島の各地へ煌めきを届ける。 その後で、光に誘われた雲が渦を巻き、火口を覗き込むかのようにゆっくりと、だが確実に島へと降りてきた。 続いて、七色に彩られた虹が山を跨(また)いで島を横断。橋を架けたかと思った矢先、島を縦断してきたもうひとつの虹と激突。 火口の真上で十字を描き、七色の閃光を散りばめて渦巻く雲をふき飛ばす。 そこから姿を現したのは、上下に開く黄金の扉。 それは鋭く、縦に湾曲して、先民が言い伝えた通り、薄雲が旋風をつくる空から先端だけを覗かせた。 待ちに待った瞬間が訪れた。 10年の月日を費やしてたどり着いた秘境、“彩壇島”。 そこに隠された秘宝、“エターナル・エントランス”が今、M・クラフトの頭上、遥か上空に姿を見せたのだ。 が、彼の顔に笑みは宿らない。 同じく空を見上げるスペンサーも、驚愕の表情を浮かべて呆然と立ち尽くしていた。 しかしそんな彼らを気にかけることなく、 「……ッ!?」 耳を塞ぎたくなるような音。 数億にも及ぶ人間や動物の断末魔が、島中に轟いた。
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