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「……な、なん……」
言葉を失う二人。
スペンサーの脳裏に、ルックスランドで交わした相棒との会話が蘇る。
ーー
『扉ってのは、何かの例えなのかも知れねぇな』
ーー
その推測は間違っていなかったのだ。
空に現れた“扉”の姿を目にした二人は、なぜ不死の力を掲げた民が滅んだのかを瞬時に理解した。
“エターナル・エントランス”は呪われた秘宝。
リンジーやMrマネージャーが、そう言っていたことを思い出す。
だが、状況はそれよりも悪い方向へ傾いた。
“ログロット教”は不死の力に頼ってなどいなかったのかもしれない。
逆にこの“扉”を恐れ、厳重に封じていた。そう考える方が納得できる。
「扉なんかじゃ……ねぇ……だろ?」
誰に投げるわけでもない質問は、島を這う断末魔の渋滞に呑み込まれた。
この島に生きた民は、一冊の日誌にこう綴った。
空に現れる扉の中へ進んだ者だけが、永遠の命を手に入れる。
だが、天空から降り立つそれは扉などではない。
「……馬鹿な」
鋭い嘴(くちばし)を広げて火口を覗き見る、巨大な鳥だ。
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