エターナル・エントランス

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「そんなことより、相棒はどうした? よく見るとお前さん、かなり負傷してるようだが大丈夫なのか?」 この島にやってきてすぐのライスは、ここで行われた激闘など知る由もない。 が、トニーの右手に握られている青い鞘に納まった刀を見て、わずかだが情報を得始めた。 「一番の鬼門は突破したようで何よりだ」 「そうでもねぇ。あれを見ろよ、あの真下でスペンサーと無法大国の王が戦ってやがんだ」 トニーが指差す方向を見て、ライスは初めて虹に乗る巨大な鳥を視界に捉える。 島を覆う断末魔の原因。その鳥は光に彩られた秘境の中心にある山を見下ろし、耳を塞ぎたくなるような声をあげて怒りを露わにしていた。 噛み砕いてもまだ火口への攻撃をやめず、今や首をすっぽりと中へ入れれるほど山の頂は崩れ落ちている。 「な、なんじゃありゃ!?」 ライスは顎が外れるくらいに大口をあけ、青ざめた顔で鳥を見つめる。 「“エターナル・エントランス”。不死の力を得るには空の扉をくぐるんじゃなく、鳥の胃袋で永遠に消化を待つことだったってわけだ」 されるまでもない説明を聞き、身の危険を感じたライスは懐から銀色に煌めく奇妙な銃を取り出した。 法のない国で“マネージ社”から奪った、特殊なエネルギー弾を放てる銃だ。 「Aランク秘宝の真下で最終決戦中か。お前さんはどうするんだ?」 顔色は変わらないが、思ったよりも冷静な口調で尋ねるライス。 「参加する気満々だったんだがよ、やめたぜ」 対するトニーは浅く息を吐き、柔らかい笑みをそのままに言葉を返す。 「俺達は船を探そう。あいつがケリつけて戻ってきた時、いつでも帰れるようにな」 「……ま、無事に戻れないと報酬がもらえないし、ここまできてタダ働きはゴメンだな」 二人がここでやることは決まった。 普段は人を騙す詐欺師二人が、一人の男を信じて待つ。 そして決着の時は、すぐそこまで迫っている。 ーーーーー
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