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黄金色に煌めく絹糸みたいな髪に碧と緋の双眸が印象的で儚い雰囲気な少女。エルファーレ。ハルトはエルファーレの事を思い浮かべていた。
(俺はエルが嫌いなのに…なぜあいつの事ばかり考えてしまう)
誰からも慕われ信頼されるエルと、惨殺を平気でやってしまう残酷な一面を持つエル。
どっちが本物のエルか分からなくなったハルト。
兄の事が起こるまではハルトはエルの事が好きだった。
好きっていっても恋愛感情などこれっぽっちもないはずだった。
本当の気持ちに気づくまでは。
(この違和感はどうやったら拭えるのか?やはりこの気持ちはエルを殺せば…)
兄の敵討ちをしようと前々から思っていたハルト。でも本当にそれだけ?いつからエルの事を憎むようになったのか?兄の事があってからか?兄なんて本当にいるのか?自分は誰なのか?全部が分からなくなってしまう。
(エルがホシイ……あいつさえ手に入れば…!)
前は純粋な愛だったのに。今では歪んだ愛に変わってしまった。
まずはあいつにいつも付き添っているリュウガを始末しないとその後はシルヴィヤ。こいつは一筋縄じゃいかないし今は生きているかさえ定かではないしエルにもう一つの名を与えたのもこの男、シルヴィヤが与えた名はリリアー、この男はエルの心に少なからず入り込んでいるだろう。
ハルトさえ知らないエルの秘密、それを彼は知りたかった。
それこそ彼が求める真実なのだ。
もうじき夜が明ける。分厚いカーテンを掛けず月の光が照す瞬きが見えるほど薄いレースのカーテンだけ掛かっていた。
ハルトは上質なベットに寝そべり眠くない双眸を瞑り眠気を煽った。
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