2人が本棚に入れています
本棚に追加
「父さんが…いつもあの塔に…行ってるから大丈夫だと思う…」
何を根拠にそんな事を言っているのか分からぬがそう言った。
「お前さ俺達の父親がまともじゃないって知ってるよな?」
ラルファはどこか遠くを見るような双眸でファムをちらっと見て視線をもどした。
「知ってる…父さんは僕達に興味さえ示さなかったもん」
皇帝オルガラァードの寵愛を受けてる正妻アリシラの子供であるファムやロクシェにさえ興味を示さなかった。
母であるアリシラが不在な為ファムは誰からも可愛がられたことがない。
実の兄であるロクシェは世話は焼いてくれるがそこまで自分の事を可愛がってくれなかった。
まだ幼いファムにはオルガラァードが何故こんなにたくさんの子を必要とするのか分からない。
ましてやファムはアリシラが不在な事を良いことに前皇に駒として働かされている。ファムは前皇には逆らえずただ目の前の敵を倒すだけ。
最初の頃は躊躇してたがそれもだんだん慣れてきてしまった否、慣れなければ何かが壊れてしまう気がしたのだ。
もしかしたらもうすでに壊れてしまったかもしれない。
「あの男が興味を示すのはきっとあの化け物だけだっ!!」
実の父であるオルガラァードに憎しみを込めるように言い放った。
ラルファはあの塔に何が居るのか知ってるをじゃないかっという疑問が浮かんだが今彼に問うことは出来ないと察した。
それからファムはあの塔に何が居るのか知りたい気持ちを押し殺した。
きっと見てはいけないものがあそこには居るのだろうと思い。
最初のコメントを投稿しよう!