遙かな日々

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それから1年の時が過ぎた。 8歳だったファムは9歳へとなり顔付きもそれなりに男っぽくなっていた。 今は帝国騎士団の団長であるバルドンに鍛練の稽古を付けて貰っている。 「お前は剣筋がいいな。その調子でいけばもっと強くなるぞ!」 バルドンはファムの頭をがさがさと大雑把に撫でる。 「はいっ!これからもがんばります」 未だに輝きを失っていない双眸。その瞳には熱いものがあった。 **** どこかの一室だろうか。その部屋に二人はいた。 一人は陶器みたいな綺麗な肌。大人びた美少年みたいな印象が特徴的で藍色の首もとまでの髪に黄金の瞳。背はスラッと伸び長身な事がわかる。黒のチュニックに白の長ズボンが彼の長い脚を引きたたせた。 チュニックには帝国の紋章が金色の装飾で右肩に刺繍してある。 もう一人はまだ幼さを残した笑顔。真ん丸の蒼い双眸。金髪の髪は前髪が綺麗に切り揃え、後髪は青のリボンで束ねてある。 白いローブの上にリボンがありリボンの端に少年と同じような刺繍があった。 「エル一人でつまらなくないか?」 自分の膝にエルを乗せ向かい合うようにし少年みたいに陶器のような雪みたいに透きとおる頬を撫でた。 傷一つない綺麗で、すべすべの肌は撫で心地がよくて少年はさわり心地を確かめるように撫でる。 「毎日ロクシェ兄様が来てくれるからボクはつまらなくないよ!」 にっこりと満面の笑みをみせた。 そしてぎゅっとロクシェに掴まり怯えるような震えをみせた。 「でもね、ときどき怖い夢を見るの城が炎に包まれてみんな居なくなっちゃうの…それでボクよりも小さい女の子が泣いてた…」 「それは…!まさかっ!!そんなはずがない…」 ロクシェはなにか困惑するような表情でエルを見る。そしてぎゅっとエルを抱きしめた。 「兄様どうしたの?」 彼に目線を合わせるように上を見上げた。 「いや大丈夫だ。気にするな」 自分の膝の上に座っているエルを抱き上ふかふかの絨毯の上に下ろす。 頭を撫でたら機嫌がいいようににっこりと笑いロクシェは安心したような溜め息をもらした。 じゃあなっとだけ言い残しエルの元を去った。
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