聖女略奪

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「行くぞ!ヘイブン、リリアー」 ルマニティが動き出すとヘイブンとリリアーも行動を開始した。 事が起こる三十分前、聖女アシャー・ロベルト・ハルディーヤは星を詠み、で知り、見てしまった。 これから何が起こるのかを。 しかし誰にもこの事を伝えなかった。アシャーが言えば誰もがそれを信じてくれる。 彼女の星詠みは正確で、今まで外れたことは一度もない。 故に迫り来る最悪の事態を全て防いでこれた。 今回も兄であるロクシュエに伝えれば全て解決するだがそれをアシャーはしなかった。 アシャーは星詠みで見た、ある人に会わなければっと思ったのだ。 今までに行方不明だったあの人に話さないといけない事があった。 だがあの人が自分の話を聞いてくれるだろうか。それだけが心配であったがこれは絶対に話さなければならない。 何があっても。アシャーの瞳は何かを覚悟を決めたように迷いがなかった。 それから数分後。リリアー達が城内に突入してきて騒ぎが起こった。 アシャーは騒ぎが起こったことを確認したら、直ちに行動を開始した。 あの人を早く見つけなければ。 それだけが、アシャーの内に募っていく。 リリアーはホワイトタイガーのカノンと行動を共に、していた。 カノンが目の前にいる兵士たちを蹴散らしながら先に進んでいる為リリアーは戦う必要がなかった。 もっとも、それはリリアーを暴走させない為である。 「リリアー。あと5m先に聖女らしき女がいるぞ」 狼の獣だからカノンには遠くにいる聖女アシャーが見えた。 「…ふーん。じゃあさっさと捕まえるよ」 聖女なんぞには興味ない、どうでもいいといった素振りを見せているリリアーはカノンから降りて、アシャーに近づいた。 「誰っ!?」 「 捕まえた。ボクからはもう逃げられないよ。…うっ!…おまえ!!…」 アシャーの手首を掴んだリリアーが糸が切れたかのように倒れる。 アシャーはリリアーの記憶を見てしまった。
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