プロローグ

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『ーBOXー』 即ち箱、世界、空間。 人は誰でも持っている。 多かれ少なかれ、その数も大きさこそ違えど、みんなそれぞれ『ーBOXー』の中で生きている。 宇宙の広さ、数多の星、地球、自然、人類70億分の1。 私なんて、そんなもんに比べたらとるにたらないちっぽけな存在だ。 「世の中には食べたくても、食べられない子もいる。 勉強したくても学校に行けず、ゴミ山からゴミを売って生きている子もいる。 その子たちに比べたら、君の悩みなんてちっぽけだと思わない?」 いつだったか言われた言葉。 他人が聞いたら、なんだよそんな事くらいでと思うかもしれない。 大袈裟だと思うかもしれない。 だけどあの頃の私にとってはその世界が全てで、とても生きにくく、1分1秒がしんどかった。 その先があるのか、それが永遠に続くのかを考えることも出来ないくらい、子どもだったし無知だった。 私なんてこの世に居なくたって同じだと思ってた。 狭い狭い『ーBOXー』の中でひっそりと生きていたんだ。
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