君へ ｰthirdｰ

綺麗？

手。
アンタの綺麗な手。

俺の手は丸くてちっちゃくて
分厚くて決して綺麗とは言えない。

俺はこの手が大嫌い。
なのに、アンタは可愛いと言って、あまり変わらない大きさの、それでも全く違う手で優しく包みこんでくれる。

「好き」

「そぉなの？」

「そぉなの？じゃないでしょ」

「ふふっ」

「返事は？」

「すきだよ」

こんなちっぽけな一言で幸せになれるだなんてアンタに出会うまで知らなかったよ。

「黄の手、むにむにしてる」

「…うっさい」

コンプレックスだって、知ってるくせに。

「かわいい」

「…あそ」

性格まで可愛げのない俺。

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