誰か

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「…っ」 「俺は客だぞ?満足させてみろ」 可愛い声出して、イイ顔しとけば金が手に入る。 簡単な金の稼ぎ方だ。 一生懸命働いて少ない給料を貰うより、1時間で3万も貰う方が利口。 そう思ってる。 だから今日も予約でいっぱい。 超売れっ子だ。 「……今日のお金、ほら」 「ありがとうございます。また呼んで下さいね?」 「あぁ。また連絡するよ」 仕方なくキスを受け入れて、 シャワーも浴びずにホテルを出る。もはや、此処は俺の居場所だ。 「…アンタ、今日もいるの?」 「あ、きた」 世の中には物好きがいる。 コイツはその1人だ。 俺が仕事を終えるといつも何故か待っている。 今日は残暑で熱中症になるかもしれないのに。 それでも待っていたらしい。 「待ってた」 「だろうね」 「はやく来てくれればよかったのにさぁ」 「帰ればいいじゃないですか」 「だからそれはヤダって」 俺は、コイツが此処で待つ理由を知らない。知っても、何もならないから。 どうせ、身体売ってるのが珍しいんだろう。 「きょおはどんな人だった?」 「…聞いてどうするんだよ」 今迄、聞いてきたこと、無かったくせして。 「いーじゃん、教えてよ」 「40くらいのオッサンだったよ」 「オッサンとか言ってる~」 「別にいいでしょ」 聞いてきたのは、そっちなのに、何でそんな悲しそうな笑顔なんか作るんだ。 .
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