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「またかよ、アンタ」
「ふふ、来ちゃった」
「これから仕事だから。邪魔すんな」
「…知らないの?」
「何をだよ」
不機嫌そうな顔。
おいらとの記憶なんて、もう無いんだろうな。
悲しいけど、事実だもん。
受け止めなきゃ。
「今日の客、おいらなんだ」
「……は?」
「楽しませてね?かず」
「ちょ、待って…え?なに?
マジで言ってんの?俺がどういう仕事してんのか知ってるよね?」
「だてにストーカーしてねぇもん。知ってんに決まってんだろ」
ばかにし過ぎじゃない?
さすがに酷いよ…黄、じゃなくて、かず。
「自信ないわけ~?」
「ふざけんな、騙そうったってそうはいかねぇから」
「予約表見なよ」
「……あー、えっと?アンタの名前なに?」
「あお」
ぺらぺらと手帳を捲ってる。
…え、本当にそんな人気だったんだ。
「……うわ、マジで客かよ」
「だから言ってんだろ」
「はぁ…ま、いいや。行くよ」
「ん…、っ!?」
いきなり腕を組まれてびっくりした。それを読みとったみたいにクスクス笑うかず。
「んふふ、行こう?青」
……なるほど。
魔性のチカラで下剋上したのか。
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