誰か2

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趣味の悪い部屋に入る。 まるでその行為のためだけに作られたかのようで。 絶対、安いからって理由で来る一般客もいるのに。 「…どうしたらいい?」 「なにが?」 「俺はシャワー浴びた方がいいの?」 「あー、いいや」 「……じゃあ」 俺の首に腕を巻き付けてきて。 わざとリップ音がなるようにキスされる。 「いっぱい愛して」 「…いいよ」 そこからはもう、縺れながらも抱き締めてキスを繰り返しながらベッドに行って。 何故か分からないけど、黄が一瞬あの頃に戻ったんじゃないかって思った。 …でも、変わったんだね。 あの頃の黄はそんな暗い瞳をしてなかった。無理して声をあげることも、自嘲するような笑みも…まるで人が変わってしまったかのよう。 「あぉ…っ」 「どう…した?」 「離さない…で?」 あぁ、黄と呼びたい。 愛してると、今でも変わらず愛してると伝えたい。 君はもう覚えていないだろうあの頃からずっと好きなんだ。 「かず…っ」 昔からだよね。 悪さする時とかに使う偽名。 決まって「かず」だった。 ねえ、思い出して…? 黄と俺の過去を。 (ただ、見てるだけで良かった) (その筈だったのに) next.
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