構って

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いくらそう言ったって、信じられない。 赤さんの心は不思議。 他の人なら直ぐに心の中なんて読めるのに、赤さんの心だけは謎が多過ぎて。 「……俺だって」 「ん?」 「俺だって、心配くらいするよ」 「…どした、黄?」 「隣に居たって、怖い。 物理的に距離が近いのと、心の距離が近いのだと全然違うでしょ?」 「何が言いたいの?」 「…こうやって一緒にいても、 心が離れてたら意味ないじゃん? ただ…2人で居るだけでも嬉しいと思っちゃって、そんなの矛盾してるって思うだろうけどさ。嬉しいけど…寂しい」 「…いつもそんな事思ってくれてたんだ」 「何?」 「俺はね、黄。一緒にいるって凄い事だと思うの。 だって生まれた時代や世界が違ってたら出会えなかった訳じゃない? だからそんな事、考えなくていいんだよ。この出逢いは奇跡だって思うから。 一度起こった奇跡をそう簡単に手放さないよ」 「じゃ、じゃあ、好きって言ってよ」 「………あ、最近言ってないから変な方向に思考がいってた訳か」 「……」 何でこういう時だけ鋭いんだろう。 いつもは鈍くてこっちが困る時だってあるのに。 「…好きだよ、黄だけを愛してる」 「…お、俺も」 恥ずかしくて俯いちゃったけど、頬にキスをしてくれたって事は精一杯の俺の気持ちを受け取ってくれたんだよね? 「…浮気、すんなよ」 「心配しない、心配しない。俺は、ずっと黄一筋だから」 ヘタレのくせに、今日はやけにかっこいい。 大きな声では言えないけどあんたは俺の自慢の彼氏だよ、なんて今なら言ってやってもいい気がした。 end.
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