第四章 二人きりの初日の出

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場所は眉山の展望台。あたりには初日の出をみる観光客があふれてはいるが、そのすみっこで私たちは肩を寄せ合った。 日の出があがるまで、私は恵里子にメールをしていた。 『あけおめー。今年もよろしくね。今浩介君と初日の出見に来てるんだ。恵里子はどうやって過ごしてる?」 恵里子は初日の出なんて興味もなく、少し遅い時間の年越し蕎麦を食べながらテレビをみていた。 そこで理恵からのメール。恵里子はすぐさま打ち返し、1人孤独を味わいながら頭をかかえてうつぶせた。 『私は1人で年越し蕎麦食べてる。うらやまし!あついねー。仲良くやってね。今年もよろしく』 恵里子からのメールをちらっとみて空を眺める。 初日の出は綺麗にあがった。 私は浩介にキスしようかと思ったが、浩介は初日の出に夢中で声すらかけれなかった。 2人を照らす初日の出。日の出は2人を祝福しているようにも、いたずらに照らしつけているようにも見えた。
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