第一章 飲み干したアップルティー

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呼び鈴がなる。 「あのー、パフェ1つ」 お客からの注文に手慣れた対応をする私。 「かしこまりましたー」 賑やかな街角、その離れにある喫茶店に勤める私、須崎理恵(すざき りえ) 喫茶店にはもう三年くらい勤めている。 「理恵ちゃん頑張るね、いつもありがとう」 優しい店長、私を1ヶ月で社員に入れてくれた。 私は店長に微笑みを返し、 「いいえ、いつも普通にやってるだけですよ」 何気ないいつもの仕事をやりこなし、帰り支度をしてそそくさと退社した。 その帰り道、1人の少年と出会った。 「君、この喫茶店の店員さんだよね?」 身なりは普通の少年。 緊張も危なっかしさも感じなかった私は 「そうですよ」 とあの得意な微笑みで答えた。 「俺、この店の隣で服売ってる、浩介っていうんだ。東城浩介(とうじょう こうすけ)」 お隣さんだとわかった瞬間少し親近感がわいた。 「私は須崎理恵です。よろしくね」 お互い自己紹介した後、私はカバンからアップルティーを取り出し、 「飲む?私のどかわいてないんだ」 この少年と仲良くなりたい、とかそうじゃなくて、間違って買ったアップルティーを浩介に手渡した。 「ありがとう、連絡先交換しようか」 私は躊躇することもなく交換し、その場でわかれて帰途の歩みを踏み出した。
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